Tai

沈黙ーサイレンスーのTaiのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.5
タイトルの通りレビューも「沈黙」したくなる程、言葉に詰まる内容でした。
だいぶ重かったです。

監督のこだわりを強く感じるました。
映像はもちろん、何よりも音。
静寂を演出するのに、ただ無音にするのではなく、虫や風にそよぐ草木などの自然音を入れるというのは、どちらかというと邦画的なイメージ。
原作の世界観を形にしようという思いが見えてきます。
それは作品の最後1秒まで貫き通していたのには脱帽です。

宗教の話になるといつも頭に浮かぶ「神は信じる。しかし、宗教は信じない」という言葉。
TVドラマ「CSI:科学捜査班」に出てくるセリフなのですが、本当にこの言葉こそ真理だと思います。
私自身は神の存在を否定はしませんが、別に人を救ってくれるとは思っていませんので(笑)

一神教ではなく、八百万の神を信じてきた日本だから、新しくイエス・キリストという神を知ったところで、それ程抵抗はなかったはず。
では何故、キリシタン弾圧など行ったのかというと、そこからの政治の介入を恐れていたからなんですよね。
しかし、バックに何が付いているとかは関係無しに、ただただ世の為に教えを広めたい宣教師たち。
根底にあるものが違いすぎて、わかり合うことは、まず無理だったでしょう。

何より悲劇だったのは、現代のような道徳観が無かった時代ということ。
別に他国民だから差別して拷問していたという訳でなく、自国民にも同様に悲惨なことをしていました。
日本人の中でも差別し、虐げていたといえばそれまでなのですが、考えてみれば、日本統一し泰平の世とされた江戸時代。
誰も達成していなかったそれを保つのに、国内外に対し少なからず怯えがあったのでしょう。
殺しすぎですけどね!

原作を未読なので、読んで観たいと思います。
小説の方が読んでて辛そうですが…。
Tai

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