TaichiMurakami

沈黙ーサイレンスーのTaichiMurakamiのネタバレレビュー・内容・結末

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

遠藤周作の『沈黙』を基にしたマーティンスコセッシによる作品。

キリシタンへの弾圧が激しさを増す江戸時代の長崎を舞台にして、密かにキリスト教を信じる住民と、日本で消息を絶った師を追って入国した二人の宣教師を描く。

この作品に描かれているのは、人間の弱さと信仰への問い。 過酷な弾圧の中で人は信仰を棄てても良いものなのか否か、自分の信仰を曲げてでも生きる弱さは赦されるのか否か、など深いテーマが描かれる。

通常のスコセッシの作品とは異なり、作中ほとんど音楽は流れないが、それがかえって主人公と一体化し、神の声を待つ者の気持ちにさせられる。

自らもカトリック教徒でありながら、信仰に疑問を持ったこともあるというスコセッシが撮った作品であること、そして私自身が小学校の一部の時期をキリスト教系の学童保育で過ごしたりキリスト教の大学に行ったということも相まって、非常に私個人的にも深い作品と言える

感動したシーン:
1. 窪塚演じるキチジローの"Where is a place for a weak man in a world like this?"

2. エルグレコが描いたキリストが出てきて「私を踏むが良い」、「私はお前とともに耐えてきたのだ」と言ってくるシーン

3. ガルペが最後火葬される場面で手にキリストの像を握っているシーン。そしてその時話す"Only the God knows."というセリフ。