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沈黙ーサイレンスーのsaaのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.5
自分はキリスト教徒ではないため、棄教を迫られる苦しみ自体は理解できないが、沈黙する神を信じ続けるもどかしさや葛藤を強く感じた。

面白いのは、映画を見ながら、主人公であるロドリゴやガルぺに感情移入しながらも聖人すぎてどこか他人事のように感じ、一方キチジローには苛立ちを感じつつも人間味を見出し、同族嫌悪と同情のような感情を抱いてしまうことだ。

「苦難の中にあって神はなぜ沈黙され続けるのか。」
これに対して、信仰とは神がいつか手を差し伸べてくれるまで希望を持ち続ける辛抱強さなのだろうかと考えた。
そうであるならば、ロドリゴの信仰は強いだろうになぜ神はいつまでも沈黙していたのだろうか、彼は神を信じ続けるべきだったのだろうかと疑問に感じる。

しかし実際、棄教に当たる行為こそしていないが、ロドリゴも心の中では神への信仰が揺らいでいただろう。
救いへの希望を持ちながらも、神への信仰という約束を裏切っているのはいつも人間の方なのかもしれない。

キチジローはその分かりやすい例で、何度も信仰を捨て、何度も罪を悲しみ悔い改め、再びロドリゴの元に現れる。そんな弱い人間にすら神は愛と憐みをもって、もう一度自らの意思で信仰を取り戻すチャンスを与えてくれるということなのかな。

宗教って何なんだ。
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