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レクイエム 最後の銃弾のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

レクイエム 最後の銃弾(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

子ども時代からの親友で、麻薬捜査官として活躍するマーとワイ、そして潜入捜査官ソーの3人は、タイの大物麻薬王ブッダの逮捕目前まで迫る。しかし、事前に捜査情報が漏れていたことから思わぬ反撃を受け、ブッダの逮捕に失敗したばかりか、チャンを失ってしまう…。

麻薬捜査に命をかける3人の警官の壮絶な戦いを描くサスペンスアクションの秀作。
派手な銃撃戦と男気溢れる熱い友情!
もうコテコテの「香港ノワール」だ。

冒頭は「インファナル・アフェア」並みの潜入捜査官ソーの身の危険が描かれる。
妊娠中の妻を置いて使命に没頭せざるを得ない苦悩は、実直な日本のサラリーマンも共感できるだろう。

潜入捜査がバレる中盤、戦闘ヘリが空爆でタイ警察をなぎ倒す大掛かりな銃撃戦の様はまさに戦争。
そこでブッダの娘を人質に崖に追い詰められた上司のマーが、ブッダに「助かりたくば、ワイかソーを選べ」と究極の選択を迫られる。
マーは、もうすぐ子が生まれるソーを選び、ワイは撃たれワニの泳ぐ川に落下。
戦争の渦中での究極の選択、友情への裏切りは「ワイルド・ブリット」を思わせる。

それから5年。捜査失敗の責任をとって左遷されたマーと、逆に出世して麻薬捜査班のトップになったソー。
ワイを犠牲にした十字架を背負うマーと、マーを許せないソーが、警察署内で会話もせず、すれ違う姿が悲しい。
そこに、香港の新興組織とブッダの組織との間で新たな抗争が起こり、2人の前に、死んだはずのワイがブッダの麻薬組織の一員として姿を現す。
「あれ?死んだはず?もしかして双子?」と「男たちの挽歌2」での無茶な設定が頭をよぎるが、実は銃撃戦で助けたブッダの娘に助けられ、生き延びるために結婚したという、これまた無茶な展開。

憎しみ合う幼馴染3人が無情にも戦い合う展開でも良かった気がするが、そこはやはり「香港ノワール」。
マーの心からの謝罪を聞き、ワイがマー許す男気を見せ、麻薬組織をアッサリと裏切る。
ワイは警察官としての正義を捨ててはいなかった。
昔のように3人でブッダの組織を潰そう!とクライマックスに突入する。

3人の男の絆が壊れ、紆余曲折あって再び堅く結束する熱い展開の骨子は「男たちの挽歌」そのまま。
子ども時代の思い出を語る度、挿入される昔から彼らが歌って来たテーマソングの歌詞も、ストレートに友情を歌っており、80年代的な懐かしい演出が、妙にむず痒いやら、照れ臭いやら。

マカオのホテルの豪華な装飾をぶち壊す銃撃戦のムードは「ヒーロー・ネバー・ダイ」。
麻薬組織を裏切ったワイがまず犠牲になり、弾が切れたマーも妻子と復縁したソーを盾となって守り、無数の銃弾を浴びて死ぬ…。
友を失ったソーは生き残り、再び失くした物の大きさに涙する。

熱い男気と壮絶な銃撃戦。
照れ臭くなるほど義理や人情を重んじる浪花節。
これぞ香港ノワール。

とことんクールに男たちの死を描くフレンチノワールや、過激な暴力と無情感溢れる韓国ノワールとは一味違う。
過去の香港ノワールのイイトコ取りかもしれない。
ツッコミどころも多数ある。
しかし、ジョン・ウー監督作品か?と勘違いするほど、久しぶりに熱い男のドラマを堪能させてもらった。
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