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レクイエム 最後の銃弾のRenkonのレビュー・感想・評価

レクイエム 最後の銃弾(2013年製作の映画)
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(@新文芸座/2015.3.11)

"潜入捜査もの"という近代香港ノワールのベーシックで『男たちの挽歌』をやろうというのだから、それが面白くない訳が無い。はずなのだが…。
中盤のまさかのやり過ぎ展開についていけず、私はすっかり置いてけぼりをくらってしまった。
137分でこのストーリー性の薄さは、さすがに冗長じゃないだろうか。
あまりに人間描写が軽すぎる。
だったらいっそジョニー•トー作品みたいにドライに仕上げてくれた方が良かったし、プロットはめちゃくちゃでも、素晴らしい肉弾戦を披露してくれた『スペシャルID特殊身分』の方が僕はずっと好みだ。

あととても惜しいシーンがあった。
麻薬王ブッダ率いる麻薬組織に囲まれ、絶体絶命の香港警察チーム。
断崖絶壁。その下には、血に飢えた鰐の大群が今か今かと彼らの落下を待ちうける。
残酷描写大好きな自分としては「よくわかってるじゃないか!」と心の中で手を叩いて喜んだのだが、期待していたような血生臭さは無く、折角のシチュエーションを活かしきれてなかったのが残念だった。
その他、近代香港ノワールを盛り上げるメイン3人の演技も相変わらずいい味出してたし、ヘリの一斉掃射のシーンなんかもド迫力だった。からこそ、勿体無く感じてしまう。

というかそもそもその後のアリゲない展開がこの作品の大きなポイントとなっており、そこが引っかかるか引っかからないかで大きな別れ道になってしまいそう。
いっそ前半後半の色を全く変えて、ハートフルを逆手に取った(根底を覆す)展開にしていたら、きっと凄い作品になったんじゃないだろうか(折角ニック•チョンがいい演技してたのに)。
昨日はこれと『サスペクト』の二本立てだったから、帰る頃にはすっかり胃もたれしてしまった。
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