もものけ

サボタージュのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

サボタージュ(2014年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

デヴィッド・エアー監督が大好きなんです!

定期的に鑑賞しております👍

DEA特殊班を率いるジョン・ウォートンは精鋭で荒くれ者達を部下として、麻薬組織のアジトへ強行突入作戦リーダーとして参加していた。
そこにはチームの紅一点リジーからの情報で、麻薬組織の資金である10億ドルが保管されていることを掴み、チームはDEAに黙って1000万ドルを強奪する計画を立てていたのだった。
作戦は成功に収まり、翌日にチームは隠した金を取りに現場へ向かうが、そこには繋がれていたロープが残るだけで現金は消えてなくなっていた…。





感想。
骨太なクライム・サスペンスを描ける少ない監督の一人であるデヴィッド・エアー監督が、アーノルド・シュワルツェネッガーを主演に迎え、お得意の残酷描写と"悪い奴ら"で描いております。

とにかくデヴィッド・エアー監督は"悪い奴ら"のキャスティングが絶妙に上手く、チームの面々が素晴らしい役者達で構成されており、どのキャラクターも立っている印象的な見た目と、どちらが犯罪者なのか分からないほど悪辣な雰囲気タップリで見応えがあります。

もちろんアクション描写も絶妙に上手い監督でして、この作品でも強奪戦から復讐戦に変わるサスペンス要素を絡めながら、ド派手に撃ちまくりカースタントをキメて見せて、アクション映画としても文句なしの作品です。

年老いたとはいえアーノルド・シュワルツェネッガーが演じるアーノルド・シュワルツェネッガーである演技は定番で、もはや雰囲気だけでもインパクトがありながら年齢を重ねて演技に深みが増したアーノルド・シュワルツェネッガーが、それなりに衰えているものの肉体美に珍しくタトゥーを付けて、"悪い奴ら"としての存在感が良いです。
「ターミネーター」以来の悪役キャラクターなので、ヒーローばかり演じたキャリアから多少悪役になりきれていない面はありますが、復讐に燃える男としての生き様をカッコよく演じており、アーノルド・シュワルツェネッガー作品の中でも得に好きな作品になりました。

ミレイユ・イーノスが麻薬中毒者でキレまくる役柄がハマっており、金に取り憑かれた異常性を見せる死に様の演技が素敵です!

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を原作とした推理小説のような構成をとっているので、仲間の誰が犯人なのか?麻薬カルテルの報復なのか?というサスペンスが展開する前半と、妻と子を誘拐され殺されたブリーチャーが復讐する展開になる後半と、2つの味が楽しめます。
チームの面々のイカれっぷりが程よい味となっているので、誰もが怪しく見える演出。

麻薬カルテルの恐ろしさをプロットに描くことが多いデヴィッド・エアー監督ですが、カルテルの処刑方法や尻尾を表さない謎の存在感、腐敗しきったメキシコ政府などリサーチがしっかりとされており、現実に起きているメキシコ麻薬カルテルを映像にしており、より恐怖感が増す効果を使った手法です。
それらの遊び感覚で処刑や拷問を行うカルテルを、残酷描写をドギツくホラー映画ばりに演出していて、この作品ではさらに映像的にも娯楽感を煽る為にやり過ぎなくらいショッキングな演出です。
鉄道に轢かれて文字通り肉片と化した死体や、天井に釘刺しされて内蔵を引っ掻き回わされて吊るされた死体など、ほとんどホラー映画です。
しかしこれらのショッキングな演出は、フアレスでは日常茶飯事の現実であり、ネットにばらまかれた映像などと類似していて恐ろしい限りでございます。

残酷描写をドギツくする反面、コミカルな要素を取り入れていて、捜査を担当する二人の殺人課の刑事が冗談めいたセリフで絡むので、事件の真相を究明するための真面目なキャラクターである刑事が、オトボケコンビのように演出されているのが残酷な内容の割には斬新です。

後半のカースタントを駆使した銃撃戦も緊張感あって好きです。
音楽も効果的に緊張感を増すテーマ曲で良いです。

とはいえ、後半は畳み掛けるように展開してしまって深みがなくなってしまい、あっさりと幕を引くので意外性まですっ飛ばしてしまう印象です。

復讐の為に仲間を裏切って金でカルテルへ報復しにゆくジョンが、西部劇のガンマンのように酒場で繰り広げる銃撃戦の後、亡き妻への想いを果たした酒を酌み交わすラストは、個人的にカッコよくて好きです。

デヴィッド・エアー監督の割にはあっさりしていて、前半の良さが引っ張りきれていなかったですが、個人的には好きな作品で、5点を付けさせていただきました!!

やっぱりアーノルド・シュワルツェネッガーには、サングラスと銃が似合いますな!
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