tctctc

パパが遺した物語のtctctcのネタバレレビュー・内容・結末

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

タイトルから想像する程の感動はなかったけど良かった。

なんていうかこう...大好きな両親を亡くすトラウマから自分が大好きな人は居なくなってしまう⇨自分が好きになったら失われるから誰のことも愛さない⇨本気になることが怖いのにそれでも孤独で誰かの温もりに満たされたくて性行為依存症になるという負のループに苦しむケイティの心情自体は理解できる。

けれどどこかで出てきた本当の愛を知らないっていう言葉が恋愛的なものを意味しているにせよ、父親がケイティに向けたものは紛れもなく愛情でケイティが父親に向けていた純粋な気持ちもまた愛情だと思うだけに、なんていうかこう...無垢な子ども時代と大人になってからのケイティとのギャップを埋める程の”何か”が少し弱いかなと思ってしまった。
父親を亡くし同じく本当の愛を知らない義母の元で暮らす中できっと色んなモヤモヤを感じながら生きてきて普通なら受けられるべき愛情を幼くして失ったのだから充分な理由だとは思う。ただ大人になって本を理解できる歳になり諦めなかった父親の愛情を切に感じたというのは父親が少し気の毒に感じた。まぁ幼子に大人の都合を理解するのは無理だから仕方ないけれど。

ただ、ケイティを諦めなかったキャメロンはとても良かった。幸せ過ぎるとこんなことが続くはずない、何か悪いことが起こるに違いないと思うのは人間の心理だとは思う。しかしトラウマのこともあり耐えられない痛みが来る前にいっそ自分の手で壊してしまおうとする破壊癖のあるケイティ。ひどい仕打ちをすることで捨てられていい理由を自分の中に見つけ、それなら仕方なかったのだと自分の存在自体を責めてしまわない為の行為なんだろう。だからもしかしたらケイティも両親が亡くなったのは自分のせいだと苦しくなったことがあったんじゃないのかなって思ったら幸せになる許可を出してほしいなって思った。

でもきっと自分ではそれを分かっていて、あのカウセリングの子に伝えることで自分に言い聞かせてたのだろうと思う。人のことだとよく分かるのに自分のことだと分からなくなることってあるよなと思った。
ケイティの一連の言動は防衛本能と言えど正直支える側はとても大変。キャメロンが焦ったり怒ったりする気持ちも分かる。だけれどキャメロンがケイティにこんこんと伝え続けた温かい愛情がとても良かった。

そんなキャメロンはお父さんの作品がなければ出会わなかったわけでお父さんからのプレゼントというか、お父さんが物語を遺したことで2人の物語が作られていくというのは良かった。
tctctc

tctctc