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パパが遺した物語のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【ケイティの抱える傷が、見えにくい】

観たいなぁと思っていた作品。
久しぶりのアーロン・ポールよ!!

さてさて、そんな楽しみにしていた作品だが、ちょっと残念かなぁ・・・。
俳優さんの演技はそれぞれ良かった。
ラッセル・クロウの病に苦しむ姿や、子供を愛する姿や、
子供をとられてしまうという焦り・・・・
観ているこちらが本当に苦しくなるような演技だった。

 ケイティも、大きな傷を抱えながら、心にポッカリと空いた穴を埋めようと、
sexを繰り返す女性を、うまく演じていたと思う。

 けれど、その演技に見合うだけの脚本ではなかった・・という気がしてならない。
幼い頃に失った母親と父親・・・・この境遇が、sexに依存することになったというには、
説得力に欠けるのだ。

父親を失った後、その棺に、きちんとお別れをしていたケイティ。
あれほど素直で、まっすぐなケイティが、歪んでしまった理由が、分からないのだ。
 父親が遺した名作「父と子」という物語が、手元にありながらも、
そんな風に歪んでしまうものなのか。
 観ていると、ただの男遊びに、その理由をつけているだけじゃないのか?とさえ思ってしまう。

 ケイティが歪んでしまった理由も曖昧なら、
彼女が目覚めた理由も、曖昧。
 まさか、父親と一緒に歌った音楽で、今まで脱することの出来なかったsex依存症から立ち直ったというのだろうか。
 父親の遺した本以上の威力が、あの音楽にあったとは思えないし。
思えないから、キャメロンとハッピーエンドにされても、

どうせ、また時間が経てば、男を漁りにいくんじゃないの???と全然信用出来ません。

 逆を言えば、そんな簡単なものではない・・・という事なのかも知れない。
幼い頃に愛する人を失い、傷を抱える人間の修復は、
非常に難しく、常に、危ういものなのだという事なのか。

そういう思惑のある脚本だったとしても、中途半端。

ハッピーエンドのはずなのに、ちっとも安心感の得られない作品。
もしくは、ハッピーエンドなのかなんなのか、曖昧過ぎるという作品。

 良い題材であるはずの父親の書いた物語が一体どんなものであったのか。
それを読んでもなお、ケイティは、愛を感じなかったのだろうか。
 
ソーシャルワーカーとしての女の子との交流。
彼女との交流が、ケイティにどのような影響を与えたのか。
 それ以前に、ケイティが心理学を専攻し、ソーシャルワーカーとして、
少なくとも自信を持って女の子に接しているのに、違和感を感じる。

  自らを修正したくて、心理学を学びたいと思ったのか・・・・
ケイティの抱える傷が、見えにくくて、
非常に分かりにくい作品で、考えれば考えるほどに、
やっぱり、脚本が悪いんじゃなかろーか・・・・・に辿りつくのである。
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