Nobu

パパが遺した物語のNobuのネタバレレビュー・内容・結末

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


【失いたくないから 壊そうとしてしまう人】

99本目(映画100本観るぞ企画)は
ラッセル・クロウとアマンダ・セイフライド主演の
アメリカ・イタリア合作映画
『パパが遺した物語』(2015年)

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ニューヨークの小説家
ジェイク・デイヴィス(ラッセル・クロウ)は
自らが起こした交通事故で妻を失い
自分自身も長期入院が必要となってしまう

その間 7歳の一人娘ケイティは
義姉エリザベスの家族に預けられる

7ヶ月後退院してきたジェイクに
ケイティは『もう離れない?』と不安げに訊く

『ずっと一緒だよ』と答えるジェイクだったが
事故の後遺症の発作に苦しみ続ける

裕福なエリザベス夫婦は養女として
ケイティを引き取りたいと提案するが
ジェイクは頑なにそれを拒む

ケイティのために小説の執筆に没頭するが
復帰第1作は評論家たちに酷評されてしまい
生活が苦しくなっていく

それを見ていたエリザベス夫婦は
ケイティの養育権を取得する訴訟を起こす

追い詰められたジェイクは
僅か3ヶ月で新しい小説を書き上げる

それは
ジェイク自身と娘ケイティについての物語だった

ピューリッツァー賞を受賞するが
発作のため帰らぬ人となってしまうジェイク

それから25年
大学院で心理学を専攻してカウンセラーとなった
ケイティ(アマンダ・セイフライド)だが

幼い頃に最愛の母と父を失った経験から
他人を素直に愛せなくなっていた

『愛した人は必ず いなくなってしまう』

その淋しさを埋めるため ケイティは
行きずりの男とのセックスに依存してしまう

そんな時
父の遺作となった『父と娘』の大ファンだという
作家志望のキャメロンに出逢う

ケイティは自分の過去と向き合い
乗り越えようとするが…
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幼い頃
大切な人を立て続けに失うと

その“悲しみ”を二度と味わいたくないからか
無意識に 新たな“大切な人”を創ることを止め

傷つかない程度の距離感でしか
人間関係を構築しなくなる

その距離感は
また“淋しさ”を連れてくるので
余計に“渇き”を増し
次の“相手”を求めてしまう

キャメロンはケイティにとって
父ジェイクの死後
初めて 本当に“大切な人”となりそうな人だった

だから無意識に試してしまう
『こんな嫌なことをしても好きでいてくれる?』
『こんな最低なことをしても去らないでくれる?』
と…

どれだけ叩いても壊れないモノなのか
どれだけ酷いことをしても傍に居てくれるのか

子供が親の“絶対の愛”を試して
わざと悪さをするように…

信じたいから 疑ってしまう
失いたくないから 壊そうとしてしまう

でも いつか自分自身で そのハードルを
乗り越えなければならない日が来る

そのハードルの向こうでしか
手に入らないモノがあるから…

そのハードルの向こうでしか
見えない景色があるから…

“大切な人”は
相手そのものではない

“大切な人”は
自分と相手が相互に築いていくものだから…

~【映画099】 パパが遺した物語 ~

https://www.facebook.com/nobuyuki.suzuki.estrellita
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