オレオ

パパが遺した物語のオレオのネタバレレビュー・内容・結末

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

親子愛を描いた作品というより、アダルト・チルドレンである娘ケイティを主人公に据えて観たほうが、作品の内容がしっくり理解できるかと思います。

最愛の両親を失い、利己の飛び交う汚い世界に振り回されたケイティは大人になってもなお、心に問題を抱えていました。
ケイティはその心の穴を埋めるために愛のないセックスを繰り返しますが、この行為は 父の面影を探す ことに他なりません。
そんな中出会ったキャメロンという最愛の男性。小説家であり、自分を守ってくれるキャメロンにケイティは父の姿を観たに違いありません。

パパが遺した物語 は「Fathers and Daughters」という小説ではなく、ケイティそのものなのではないでしょうか。
父は娘の幸せを何よりも願って、彼女を育てます。
ケイティもまた、そんな父の想いによってつむがれた作品であるのです。
しかし自分の人生の行く末を、自分で描くことができないケイティ。
そんな彼女にとって不可欠な存在こそ、キャメロンなのです。
キャメロンが小説家であるのは、単にケイティと出会う口実というより、これから2人が、父の遺した物語を引き継いで新たな人生をつむいでいく伏線なのだと捉えたら、素敵じゃありませんか?

ラッセル・クロウはこの脚本を読んで号泣したそうですね。
私にはそれほどまでの感動はおとずれませんでしたが、「小説」をテーマにつむぐ美しい親子愛の作品であると思います。
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