してちゃん

肖像のしてちゃんのレビュー・感想・評価

肖像(1948年製作の映画)
3.5
初木下。おもしろい!

お金がなくて引っ越せない純朴な絵描きの野村一家のお二階に、早くその一家を追い払って家を売っぱらいたい家屋売買のブローカーがお妾さんを連れて引っ越す。

ところが野村一家は揃いも揃って2人を父親とお嬢さんだと勘違い。

偽お嬢さん=ミドリはその誤解がまんざらでもなく、誤解させたままにしてお嬢さんとして過ごすことに喜びを感じる。

設定が実に良い。関係性とそれぞれのキャラが絶妙だもんだから、この人たちのお話を長編ドラマでなが〜く延々味わいたいと思った。

野村家の人たちが軒並みからりと奔放で感受性が強く徳があって、心地よい。

これにあてられてミドリも真っ当な人間の生き方、真の強さというものが分かるようになり、お妾さんという生き方を選んだ自分がどんどん嫌になっていく。

同時にこの家族を騙して生きることが日に日に辛くなっていく。

やあ、ほんとすばらしい設定。

キャスティングもとてもよく、演出やトンマナ全般も好みでした。

木下監督好きみたい。