2014.10.7 角川シネマ新宿
スナックを経営する母を小夜子は小さな頃から嫌いだった。自分の名前がついたそのスナック小夜子の事が大嫌いだった。記憶を手に入れた時からすでに父親の存在はなく家計を支え男性客に良い顔をする母に耐えきれず大人になった小夜子は家を出た。しかし社会の辛さを味わい実家に舞い戻った時には大嫌いだったスナックが借金を抱え潰れる寸前の状況だった。小夜子はスナックの再興を考え近隣で繁盛するオカマバーを真似て女性だけのオカマバーを計画する。そしてノウハウのない小夜子が頼ったのは母が残した若い頃のわずかの写真に仲睦まじく映るオカマのエンジェルだった。
この映画は一風変わった形の家族再興の物語であり娘・父・母のそれぞれの視点がはっきりと描かれる。家族が持つネジレが関係を築いていく中でほどかれていく過程も清々しくコメディ部分も持ち合わせ重々しさも軽々しさも感じない見ていて気持ちの良い作品でありました。
オカマのエンジェルを演じた安田顕の存在感が圧倒的な説得力とリアリティを持ち、正直ＴＥＡＭ ＮＡＣＳを私は全然知らなかったのでどこのオカマをキャスティングしたんだろうと感じたほど。娘役の藤本泉の不安定な年頃女子を見事に演じ、どこか満島ひかり的雰囲気をかもしだす今後も見たい若い世代の女優さんでありました。
