Hideko

白い帽子の女のHidekoのレビュー・感想・評価

白い帽子の女(2015年製作の映画)
4.0
原題: By the Sea

本作、評価が割れる作品であると。主役2人がハリウッドの名だたる俳優であるから、過去作などから得た彼らの評価から、何か違うと失望してしまうのではないでしょうか。

本作は舞台が南フランスのとある海辺の田舎町。その場所で全てが完結します。言語もブラピ&アンジー夫婦間では勿論英語。しかし現地のホテルやカフェの人々と話す時、また隣の部屋に新しく滞在することになった若夫婦(メルヴィル・プポー&メラニー・ロラン)との出会いの場面ではフランス語。なのでフランス映画と言っても過言ではないのでは?

メルヴィル・プポー&メラニー・ロランの若夫婦のフレッシュさに目を奪われながら、ブラピ&アンジー夫婦の14年という年月、アンジー演ずる妻が経験した苦悩に思いを馳せ…。隣の部屋を覗き穴から覗けることを知り、夫婦で若夫婦の性生活を覗き見始めてから、物語が動き出します。

カフェの支配人が人生観を語るのもまた味わい深くなかなかであったかと。

覗き穴問題から一悶着ありますが、収まるところに収まってエンディング。

発音のことなど言い出したらキリがないですが、2人はフランス語で立派な演技を見せてくれて、それも評価に値すると思います。

本作には何か典型的なハリウッド映画的展開を求めるのではなくフランスの小さな田舎町の一夏の出来事をサラッと緩やかに垣間見るという気持ちで観れば失望も少ないかと。

本作の後、2人は実生活で離婚してしまいますが、そのことを思うに本作の撮影中も色々な思いを抱きながら撮影したのではないか、その割にはちっとも悪くはないと思うのです。自分は印象に残る作品でしたね。

ただ!

その邦題!

確かにアンジー演ずる妻はリゾート地でよく見られる大ぶりなストローハットを白だけでなく複数被っていました。白だけじゃなかったし、また言ってしまいますが、無理に邦題付けるなら原題を翻訳(観客に対して可能ならばですが)したもので良かったかと。本作なら『バイ・ザ・シー』とかね。この程度の英語なら多くの日本人が理解できるでしょうに。
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