odyss

白い帽子の女のodyssのレビュー・感想・評価

白い帽子の女(2015年製作の映画)
1.5
【アンジーに映画監督の才能なし】

アンジェリーナ・ジョリーが監督と主演女優を務め、当時夫君だったブラッド・ピットがその夫役で出ている。

おまけに、その頃はこの二人が離婚するというニュースが流れて、うまく行っていない夫婦を描いたこの映画がそういう点でも話題になっていた。

舞台は1970年代のフランス。風光明媚な海岸の貸別荘に、アメリカ人夫妻が長期滞在する。夫は作家、妻は現在は何もしていない。加えてふたりの仲はうまく行っていない。

やがて隣室に若いフランス人の夫婦(メルヴィル・プポー、メラニー・ロラン)が滞在する。そして・・・

アンジェリーナ・ジョリーの監督作品は、以前『最愛の大地』を見たけれど、あまり感心しなかった。本作は趣向の違う作品だからどうかなと思ったのだが、残念ながら同様の感想だ。

前半は仲のよくない夫婦の味気ない日常が延々と続くし、後半は若いフランス人夫婦が隣りにやってくるけれど、彼らがアメリカ人夫婦にとってどういう意味を持つかが突きつめられていない。

また、そもそもなぜアメリカ人夫婦が不和なのかが、最後になって明かされるようになっているのだが、ここ、アンジーは重大な勘違いをしているとしか思えない。

つまり、観客からすればたしかにこの二人が不仲である理由が分かったことになるのだが、そもそも二人は夫婦であり、なぜ不仲なのかお互い知っているはずなのである。つまり、観客レベルからすれば最後に謎が解けるわけだけど、当の夫婦同士ということで考えるなら、謎解きでも何でもなく、それで不仲に対する解決がもたらされるわけではない。夫婦の一方が知らない秘密が明かされるというようなことではないのだから。

そのことを、おそらくアンジーは理解していない。観客レベルで謎解きが最後に行われたから、万事解決、というような理解=誤解しかしていない。

ダメだよね、これじゃ。
odyss

odyss