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ジェサベルのmanacのレビュー・感想・評価

ジェサベル(2014年製作の映画)
3.5
理不尽!
フツーに怖かった。
『ソウ』シリーズのグルタート監督作品だけど残虐シーンはあまりないのでチキンな私にも観やすかった。
ホラーよりもミステリやサスペンス要素が強いので、ネタバレは見ずに鑑賞した方がよろしい。
ツッコミどころは多々あるものの、王道サスペンスホラーと言える作り込みで好感触。
雰囲気は日本のホラーに近い。

恋人とお腹に宿した子どもを事故で一度に亡くし、自身も障害を負って車椅子生活となったジェシーは父のいる実家に戻ることにする。
しかし、母は自分が生まれてすぐに亡くなり、その後叔母の手で育てられたジェシーは父との関係は極めて希薄。育ての親である叔母は既に他界していたため、ほぼ仕方なく父親との生活を始める。まるで廃屋のようなボロ家で始まる父親とのぎこちない新生活。
亡き母が生前自分のために残してくれたビデオレターを偶然見つけたジェシーはビデオを見てから不可解な現象に苛まれることになる。
実家に戻って再開した元恋人のプレストンと共に真相究明に乗り出すが…。

謎が解き明かされていくほど、主人公の置かれた立場が如何に不条理なものか思い知らされるのだが、とにかく気の毒。理不尽!と叫びたい。

お可哀そうランキング
1位 サム
ジェシーの元カレプレストンの妻。
ジェシーが現れる前から夫婦仲は悪かったようだが、夫はいつまでも学生時代の恋人を引きずっているし、その女が戻って来た途端夫は彼女の元に入り浸り。挙句の果てに夜分にレッドカーペット上のハリウッドセレブ並の露出度姿でノコノコと夫と共に停めてくれと自宅に現れる図々しいジェシー。
これで気分を害さない妻がいたらそっちの方がどうかしてます。
夫婦仲の悪さはジェシーに非はないかもしれないが、色々と気が利かなさ過ぎ。
明らかに夫選びでしくじったサムは脇役ながらも堂々の1位でとばっちり案件。

2位 お父さん
なんだか荒れた生活を送っていそうな不信感満載のお父さん。
短絡的で激情家な彼もとんでもないことをやらかしてはいるが、そもそも彼が第一被害者なのではあった。
ジェシーが生まれる前のホームビデオに映る彼は妻を深く愛する明るい男であった。
生まれてすぐに手放しほぼ疎遠であった娘を引き取ることにしたのも、彼なりの罪悪感があってのことたろう。不器用ながらもジェシーを気遣う素振りは見られる。キレやすいけど。
あんな事件がなければ快活で典型的な南部の良き父とのなったであろう。
彼の犯した罪は許されるものではないが、被害者っちゃ被害者。

3位 ジェシーの恋人(名前忘れた)
冒頭でいきなり交通事故でなくなってしまうジェシーの恋人。
ジェシーの妊娠を喜び新生活に向けて順風満帆トラックは走り出した途端の事故なのはストーリー上致し方ない。
だがしかし。ジェシーの心変わりの速さよ。
僅か3ヶ月ほどでジェシーは元カレのプレストンとイイカンジに。早すぎない?そりゃ亡くなった人のこといつまでも引きずっててもしょうがないけどさあー。ジェシーからは全く彼への未練が感じられないのよ、微塵も。
いくらなんでも可哀想。

4位 ジェシー
どう考えてもぶっちぎりで理不尽な目に遭っているハズの彼女。
しかし彼女からは悲壮感が全く感じられない。
車椅子生活ではワンピースの方が何かと便がいいのかもしれないが、そこまで露出する必要ある?てくらい胸元や背中が開いているわけ。田舎町で明らかに浮いている。その癖風呂に入る時はキャミ着てんだよ。どーゆうこと?
事故で亡くした恋人や我が子について思いを馳せることも一度もなく、元カレが自分に未練があるとわかった途端思わせぶりな言動で元カレの気を引こうとするあざとさ。いいように元カレを利用している。
設定は気の毒だけど、どれだけ追い詰められても決して屈せず女の武器をフル稼働し利用できるものはとことん利用し立ち向かう彼女の逞しさは「守ってあげたい薄幸の女性」からは程遠く、あまり憐憫を感じない。
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