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ヴィヴィアン・マイヤーを探してのりのレビュー・感想・評価

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昨年、東京で展示会が開催された際に話題になっていたのを思い出しDVDで鑑賞しました。

作品から醸し出される暖かさと冷たさが入り混じった独特の雰囲気そのままに、ヴィヴィアン自身も複雑な人物だったのですね。
感性が鋭すぎたのでしょうか…不器用で生きづらさを抱えていた人という印象です。
他者や社会の本質に強い関心があって、それを彼女なりに感じ取るための最適なツールがカメラだったのかもしれません。


大量の写真や映像を残しながらも何故誰にも見せずにしまい込んでいたのか?
真相は闇の中ですが、自分の作品がいかに素晴しいものであるかは自覚していたそうなので、本当の意味で繊細な人だったのかなと思いました。
作品を発表するということは自分自身を赤の他人に曝け出すことと同じで、その決心がどうしてもつかなかった(もしくはハナからその気がなかった?)のではないか…と勝手に解釈しています。

優れたアーティストが聖人である必要はないし
死後に才能が認められることが悲劇ではないし
美術館に受け入れられないからといって芸術的な価値が無いわけじゃない。
物事にはそれぞれ最適なタイミングがあって、インターネットやSNSが普及し、尚且つ作品が作者の手を完全に離れた状況だったからこそ、ヴィヴィアン・マイヤーは世界的に評価されるアーティストになったのではないでしょうか。

ヴィヴィアンが今の状況を喜ばしく思うのかどうかは分かりませんが…少なくとも私は彼女の作品に出会えてよかったと思います。
マルーフ氏の執念に感謝!
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