Shizka

ヴィヴィアン・マイヤーを探してのShizkaのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

社交性と感性は相入れないものなんだというのがよくわかる。

芸術家とは自分と話をし、自分の世界を作ってゆく。それを共有したいと思う人もいれば、一生胸の内にしまっておく人もいる。

彼女の人生は自分だけで完結し、その中の世界を覗き見せることはなかったんだよな、と思う。

芸術家って本来そういうものだが、作品を世に問うことだけでも稀なのに、そしてそれを評価されるなんて天文学的確率なんだろう。

彼女の秘めたる世界を除けなかったけれども人生を共有していた人たちの、彼女の外側の感想と、内に秘めた世界を切り取った写真から伝わる感情が正反対で、奇行だけを見れば、写真だけを見れば、全然違った見方ができるのが面白かった。

ただのインタビューだが、写真展に行ってきたかのような充実感を感じる。よく、写真展でもその人の歴史が説明されているけれど、あれを上手に映画にしたらこうなるのかもしれない。


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後日、ヴィヴィアンマイヤー展観賞後

映画ほど迫力はないものの、彼女の写真のセンスがしっかりと堪能できた。完璧な一 調和の取れた1枚のポートレートに入り込む鏡、そして自分という異質な存在が、彼女の写真を作っている。

その景色に自分をどう入れるのか、どこなら良いのか? そんな切り取り方をした写真家って、やっぱりいなかったのかもしれない。

多分ナルシスティックに撮った写真を発表したくなかった気持ち、わかるなあ。
Shizka

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