こなつ

傷だらけのふたり/恋に落ちた男のこなつのレビュー・感想・評価

4.0
チンピラ男が生真面目で綺麗な娘に恋をする。違う世界で生きる二人の純愛、良くある王道のラブストリー。ファン・ジョンミンがチンピラを演じても根っからの悪者には見えない。ちょっととぼけた優しさが堪らなく魅力的。

ファン・ジョンミンは、2004年に元女優のキム・ミへと結婚しているのだが、あるインタビューで「今でもとても愛しているが、その時はほとんど狂っていた。今でも家内を想うとトキメク。子供を産んでお腹も出てきてシワもできたがそれもだいじょうぶ」と言っていた。ルックスだけでなく、心も男前。結婚時のたったひとつの約束が「ベッドシーンのある映画は絶対やらない」だったそうで、この作品もベッドシーンはなかった。
そんな持ち前の彼独特の熱さで物語を引っ張っている。

闇金の借金取り立て屋テイル(ファン・ジョンミン)は、一見粗野で乱暴ものだが、人情に厚く根は優しい。自分の思い通りに好き勝手に生きてきたテイルだったが、ある日取り立てに行った先で銀行に勤める生真面目で美しい女性ホジョン(ハン・ヘジン)に出会う。ひと目で雷に打たれたかのように恋に落ちてしまうテイル。最初はしつこいテイルを煙たがっていたホジョンも次第に心を開いていく。生きる世界の異なる女性を一途に愛し、自分の人生を見つめ直していく姿を描いたヒューマンドラマ。

チンピラだけど本物の悪党ではない人間味ある姿が垣間見れるのは、彼の家族の影響が強いだろう。少し呆け始めているがバスの運転手をしている父、理容師の兄とその嫁、口ではチンピラのテイルに厳しい言葉を浴びせるが心底彼を心配している温かさがある。兄の子供の姪もテイルに懐いていて優しい。決して見放さない家族愛がそこにあった。

「がんばれ!クムスン」のハン・ジミンは10年も経っているのに童顔はあの時のままで懐かしい。

レビューで泣けると読んでいて、どこで泣けるのかとずっと思いながら観ていたら、最後にドッーと来た。

テイルにとって人生でたった1度の恋、それは最初で最後の恋だった。

正に心を熱く揺さぶる珠玉のラブストーリー。
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