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4分間のピアニストのmazdaのレビュー・感想・評価

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
1.9
無実の罪で刑務所に収監されている心に傷をおった天才ピアニストの話。
見るきっかけが、本作ファンの知人にラストのすごさをかなり熱弁されて鑑賞してしまったために期待値をあげすぎたあまりかなりの拍子抜け。
内容も作品を通してのメッセージ性もまったく異なるけど、ところどころ「セッション」に近いものを感じる。ラストのシーンから伝えたいことはとくに似ていたと思う。あえて比較するけどラストにいたるまでの奥深さの規模がもう全然違うので(セッションは★4.7)それはもう演奏から感じた響き具合が違ってもしかたないと思った。
本作一番の見どころであるラストは確かに"すごい"とはなるけどそれ以上には何もない。内からぞくぞく伝わる演奏をするセッションに対してこちらはビジュアルばかりにこだわった演奏にみえる。弾き方の演出の独特さに魅了されても音としてすごく良かったかと言われるとそこまで感じることはなかった。彼女の内を表現した演奏としてはうまくできていると思えるけど、そもそもその内にかかえたものの描写が弱いせいで結局表面的な演奏に変わりない。
同性愛とかレイプとか無実の罪とか言葉のインパクトがある要素が多いわりに、その名前に頼り切って一つ一つの掘り下げがすごくあまくて薄い。彼女の抱えてる重さや感じてきた傷というものは、多すぎる設定のおかげで伝わるには伝わるけど入り込めるほどではなく全てが「設定」にしかなれてない。
結局彼女がどう変わったかという変化はあまり感じられず1つのストーリーとしてうまく着地できていない感じが残念。
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