麻衣

自由が丘での麻衣のレビュー・感想・評価

自由が丘で(2014年製作の映画)
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よいしょっと、みたいなズームが癖になる。
人間の言動って決して整合性のとれるもんじゃないけど、映画においては「こういう属性の人」と記号化されたキャラクターが終始一貫性のある言動を与えられていることが多い。人間の実態に全然則してはいないけど、観る側としてはその方が心地よいと思える場合が多くて、作り手もそのことは分かっているだろうし、想像上の人物の言動に一貫性を持たせるのは簡単だから双方に好まれるんだと思う。
逆に想像上の人物に一貫性のない行動を取らせる方が難しいし、観る側はキャラクターを通して「自分もご都合主義的な側面を持っている」という受け入れ難い事実と向き合う作業を強いられるわけだから、リアルな人間の描写ってどちらにとっても苦しいものになる。この映画はそれをまあ絶妙な塩梅で、ごく自然にやってのけている。人間の人間らしい部分にヤダァ...とならず愛おしく思える映画はそう多くない。これの延長だと思えばエリック・ロメール好きになれるかも。
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