藍住

野火の藍住のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.0
凄まじい映画だった。映像が流れ出した途端、戦場に放り込まれる感覚に陥り、登場人物と同じように極限の状態を味わう。上映時間は短かったのに長く感じるし、観ていてとてもしんどかった。
血に染まる大地とは対照的に、映し出される空は真っ青で愕然とする。人間はこうも変わるものなのか。食うか、食われるか。極限の状態に陥った時、自分はどっちを選ぶのか?

映画館を出て、この平和を当たり前に思ってはいけないのだと思った。そして、当たり前のように美味しくご飯が食べられるということも。何もかも当たり前だと思ってはいけないのだ。

作中では戦争反対!と訴えるわけでもなく、淡々と戦争の悲惨な状態を見せられるだけ。なのに、どんな戦争映画よりも生々しく、強いメッセージを感じた。戦争と離れつつある私達にもストレートに伝わる圧倒的な熱量と絶望感。こんなにも辛いのに、素晴らしい映画だった。
藍住

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