ゆう

野火のゆうのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.8
戦争は駄目、絶対。当たり前のこのことを、ちゃんと考える日。今日は沖縄慰霊の日。
この時期は、戦争映画を観ます。

昨年観た「ジョニーは戦場へ行った」はトラウマ級の衝撃で、しばらく頭を離れなかった。今年は邦画を観ることに。

戦争映画を観終わって残るのは、不快感しかない。心を抉られる恐ろしさのみ。本作の淡々と映し出される戦争の無情さ、地獄絵図は、正視できずに目を反らしたり目を閉じたりしながらの鑑賞になった。本当は観たくない恐ろしい内容。それでも、やっぱり慰霊の日が近づくと、戦争について考えなければならないという気持ちになる。

先日沖縄平和資料館へ行く機会があった。そこで出会った平和学習で訪れたであろう中学生達。多くは神妙な面持ちで展示物を眺め学んでいる。その中で数人の子が引率の先生の目を盗み、再現された豪によじ登ったり横たわる再現人形を笑いながら叩いたり服を脱がせたりという信じられない悪ふざけ場面に出くわした。平和を学ぶ前に、心の成長が大事だ。どんな背景があるからこんな風になってしまったのか…と、物凄く悲しくなって資料館を出た。
この作品を観たとしても、あの子達は同じように悪ふざけができるのかなぁ。

戦争を美化することなく、愛する誰かを守るためのドラマとして描くのでもなく、ただ淡々と極普通の人が人でなくなっていく極限状態を描き、それが戦争だということを伝えている作品だった。

愚かな戦争が地球上からなくなりますように…黙祷
ゆう

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