EnzoUkai

野火のEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.5
塚本監督作品は自主製作も多いが、正直、この世界的にも有名な原作ものを塚本晋也が撮るのに何故「自主映画」?、と思った。
しかし、上映後の監督自身によるトークの中でその疑問は雲散霧消した。
この作品、製作過程はもちろんのこと配給に至るまで自主配給。出来るだけ監督自身が全国に持って周りたいという意向があるという。これはもう全てが確信的で、本編が一番その確信を雄弁に語っている。このきな臭く、重苦しくなりつつある世の風潮の中で伝えたいものを伝えることを追求した果ての決断だったろう。何をやっても何か言われる、こうした世の中だから本当に表現者には同情ばかりだが、この作品を世に送り出した塚本晋也監督には喝采以外何もない。
正に「The King Of Indipendent」だと思う。

前置きが長くなりました。
本編はPG12とあなどってました。凄惨な地獄絵図。死屍累々とはこのことで、逆にこれこそ何故親同伴で子供が見ても良いの?と思ってしまう程。しかし、これもまた塚本晋也監督の技量そのもので、みんなに観てもらう為の最高の技術的な配慮だと思う。そして、世界中の人に、そこにある人間の物語を感じ取ってほしい。目を逸らしてはならないものは人間の中にしかない。
戦争を引き起こすのは、「人間」なのです。人を殺すのは決して兵器ではありません。

公開は今夏、順次全国で上映です。お近くに来た時は是非是非観に行ってください。

ちなみにこの映画は点数を付けたくなかった。ですから個人的な最高の点数です。
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