土偶

野火の土偶のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
5.0
好き嫌いが出るだろうが自身は今年の今までのベスト。

大岡昇平原作で、これが2度目の映画化。
第二次世界大戦でのフィリピンレイテ島で敗走する日本軍兵士たちの惨めな死を、市川版にはないカラー撮影で強烈な色彩を交えて突き刺さる、塚本晋也監督の最新作。
製作費がなく、インディーズとして製作上映された。
なので、監督が全国行脚して紹介して回る。
上映後登壇した監督曰く、気分が下がるダークなテーマとビジュアルなのだが、私には不快感はまるでない。
巷のスプラッターホラーとはまるで違い、監督がインタビューした元兵士の戦地での体験を忠実に再現したからだろうと思う。それでもまだほど遠いといえ話だが。
最初に取り組んだ20年前には叶わなかったが、この数年の空気が製作に突き進むきっかけだったそうな。
目を背けたいシーンがあるけど、彼らの犠牲の上に戦後の繁栄があるわけだし。

フィルメックスで昨年上映されたそうだが、やはり気骨あるな。流石。
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