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野火の素人のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.5
【概要】塚本晋也監督・主演の戦争映画。舞台は戦時中のフィリピン・レイテ島。結核を患い、病院にも入れてもらえない日本兵・田中一等兵が過酷な戦場を生き抜きます。

【感想】本作の魅力は何と言っても過酷な戦場における極限状態の食糧事情(詳細はここでは伏せます)、人間同士の醜い争い、肉体破壊を明瞭に描き切っている点にあります。この点は本当に容赦なく描かれているので耐性に自信の無い方は一応閲覧注意です(映画ファンの言う「一応閲覧注意」は「ぜひ見てね!」ぐらいのニュアンスであることは言うまでもありません)。本作の後半、何より恐ろしかったのが「殺して食うか、食われるか」という“自然界の弱肉強食”だけの概念だと思っていたことが、“人間関係”として成立している状況を一瞬違和感なく受け入れている自分がいた事です。本作はもちろんフィクションですが、このような極限状態にあった日本兵なんぞ75年前のフィリピンに存在していたはずがない…なんて誰が確証を持って断言できるでしょうか。明日の朝ごはんから、「いただきます」をより気持ちをこめて言えるようになる、そんな映画でした(究極の美化)。
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