とりん

ローズの秘密の頁(ページ)のとりんのレビュー・感想・評価

3.4
2023年15本目

「ドラゴン・タトゥーの女」「キャロル」などで知られるルーニー・マーラ主演、ベルリン国際映画祭で銀熊賞の受賞歴をもつアイルランドの巨匠ジム・ジェリダンが監督を務めた作品。
長い間精神病棟に入院している女性ローズと精神科医のスティーブンとのやり取りが行われる現代と1940年代第二次世界大戦時の若かりしローズの恋愛が描かれる過去の2つの時代を軸に話が進んでいく。
美しくも悲しい愛の物語が描かれている。
最初は単純な回想として過去が描かれていくかと思っていたら、思ったよりも重く、真実が次第に明らかになっていく。
過去の話は特にアイルランドのある街を中心に繊細な映像タッチで描かれており、その映像に惹きつけられる。ただ少し淡々と描き過ぎていた気もする。
戦争に行ってしまったマイケルとの恋愛模様も良かったけれど、常に付き纏うゴーント神父の存在が否応にも影になる。
このゴーント神父が自らの想いが実らないことをいいことに有る事無い事を広めていくし、周りの男たちもローズの美しさゆえに惹きつけられ、それが理由で男をたぶらかしていると噂されてしまう。彼女自身決して意識しいるわけではなく、強くも純真なのに。
中盤は理不尽がすぎるし、観ていて心苦しくなるシーンも多かった。
だからこそ最後は救われた感じがした。後半で気づいてはいたものの、スティーブンが息子であることを知り、精神異常者としてではなく、親子として家に帰り、あの美しいアイルランドの景色に2人が映る姿にはうっとりした。失った夫や時間は取り戻せないものの、自分のせいで殺めてしまったかもしれない息子と再会でき、後先短いかもしれないが静かに暮らせることは彼女にとって何よりだろう。
かなり眠かったので少し記憶はあやふやだったのが惜しくて、もっと体調良い時に観ていたらかなり評価変わっていたかも。
ただ第二次世界大戦時におけるアイルランドとイギリス軍(イングランドかな)との関係性とかはよくわかっていなかったし、そのあたりの時代背景なども知っているとよりこの世界観にのめり込めたのだろう。
主題歌がとても良かった。Kelly Clarkson のThe Cry Inside。Spotifyにないのは残念。
マイケル役のジャック・レイナーはシングストリートのお兄ちゃん役と知ってなるほどとなった。あとスティーブン役には久しぶりに見たエリック・バナもいたりと俳優陣も豪華だった。
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