よしまる

世界一キライなあなたにのよしまるのネタバレレビュー・内容・結末

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 ネタバレアリを開けていただいたのに恐縮ではございますが今回はバリケード付きです💦


 映画の好き嫌いは物語の好き嫌いに非ず。というのがボクの持論。

 この映画は、事故により四肢を麻痺してしまう男性が逆境の中でひとりの女性と出会い、己の生死を問う物語。
 その結末が、障害を抱えながらも人生を楽しむ道を選ぼうとも、周りへの迷惑も配慮して自死というゴールを選ぼうとも、そのこと自体を称賛したり糾弾したりしようとは一切思わない。

 ボクが上から目線で映画に何かを求めるとするならば、それは結果ではなくて過程ということになるのだろう。どちらの結末であろうと、納得できるかどうか、いやなんなら徹底した不条理でもいい。
 なにかしら映画を観ることで、誰かに心を揺さぶられたいのだと思う。

 と、長い御託を経て、今回はバリケードを設けます。この映画に深く感動して涙が止まらなかったあなた、また次回お会いしましょう。





🚧 🚧 🚧 👷‍♂️ 🚧 🚧 🚧





 もう!なんなんこの邦題!(やはりそこからww)
 くだらないタイトルで実は面白い映画ってあるんだけれど、実はちょっと「キライキライも好きのうち」的なベタなラブコメでも観ようと思ってチョイスしたのに、めっちゃマジメ映画やし、しかもタイトル詐欺だしw

 主人公のルイーザ。患者のウィルのことをひとつもキライなんて思ってないやん。しかも世界一ってどこからww
 まったく嘘もたいがいにしてほしいわ。
 それと、いくら障害を持ってて塞いでるからって、病に苦しんでいる人に世界一キライなんて言う?少なくともルイーザはそんなこと簡単に言うコじゃないよね。
 もうほんとに呆れるしかない。

 と、とりあえず毒づいたところで本題にw

 人生を奪われて絶望の淵にいるウィルと、仕事と割り切りながらもウィルの本来の姿を感じ取っていくルイーザ、ふたりが次第に心を通わせあい、恋愛感情へと至るプロセスは短い尺ながら丁寧に描かれて、観ている誰もがこの2人のロマンスを応援したくなってしまう。

 そしてクライマックスともいうべきパリでのバカンス。原作ありきなのでやむを得ないといえばそれまでなんだけれど、この旅で説得が成功したら最高、失敗しても人生最後の思い出になるからOK。
 て、え?なにその2択。そんな覚悟で説得できるわけないよね。
 このプロセスに切なさを感じ取ることができるかどうかが評価の分かれ目な気がした。
 心から愛してるといいながら彼氏をキープしてるのも??、これじゃウィル可哀想。どうみてもイケてない彼氏にもこの身体では勝てないとウィルに思わせたのならルイーザひどい。(原作ではパトリックとは別れたらしいけれど、映画ではどうだっけ?うやむや?)

 自死を選ぶウィルを誰も責めることはできない。そもそもが不注意で撥ねられてるからあまりにも自分だけが悲劇みたいに描かれてるのもどうかと思うし、加害者不在なのも腑に落ちない。けれどまあそこはさておいても惚れた女のために死ぬという決断をバカにすることは難しい。

 それよりも、説得に応じないウィルに対して、自分の思いが伝わらないからとサッサと諦めてしまうルイーザには興醒め。
 最後にお父さんが「ただ愛すればいい」と言ったのにはすごく感動したのだけれど、それが死の間際に触れ合ってモフモフすることなのかと本当にがっかり。解釈間違ってるよ。

 どうすればそんなダサいカッコが出来るのかというほどに振り切ったファッションもいいネタ具合だし(とはいえあんなに服持っててどうにも貧乏人に見えないことには目を瞑るしかないw)、献身的な姿には感心する。
 けれども、最後までルイーザの偽善的な態度にモヤモヤさせられたまま、ラストには想い出のパリに戻り、遺産をもらってウハウハで明日から新しい人生を歩もう!って微笑んでいるのはもう明らかにホラー。怖すぎる〜。

 なんて、おそらくルイーザはこの先もウィルのことを忘れることなく、言われた通りに大胆に生きていくことだろう。どうぞお幸せに。

 あぁ、ボクにもウィルほどの優しさがあったならw