古城佇む風光明媚な田舎町に住むルーは、家族の生活費を稼ぐために夢見ることもなく、ただ目の前に起こることを楽しんで生きてきた普通の女の子。
6年間働いたカフェが廃業することになり、職安に紹介されたのは古城の持ち主の息子ウィルの半年間のお守り役。
彼は金も名誉も、将来の夢さえも自由に手に入っていた人生を、ある時交通事故によって半身不随になった事から彼の城に籠ってしまったのでした。
まるで『美女と野獣』のような2人の出会いは、彼の心を溶かしていったように思えたものの…
《以下ネタバレ》
彼女に依頼された半年間のお守り役という仕事は、彼の選んだ半年後の尊厳死までのタイムリミット。
彼女と出会った事で人生の喜びを再び取り戻したかに思えたけれど、結局は「元の自分に戻れない哀しみ」に耐えられないと、最後の時を迎えるスイスのホスピスまでついてきて欲しいとと頼むウィル。
このストーリーはフィクションだし、確かに尊厳死というのはそんな運命の彼にとっての一つの判断かもしれない。
でも実際に病気によってどんどん筋肉が衰えていく病をものともせず、最後の時まで生き抜いた姿を描いた『ブレス 〜幸せの呼吸』の様に、愛する人たちと最後まで生き抜こうとしない最後には納得いかないな…
だってルーにとっては元のウィルなんて見ず知らずの人だし、そもそも健康な頃のウィルならお互い恋に落ちてなんていないよね。
そんな事にも気づけないラストには幻滅しかない。