このレビューはネタバレを含みます
かつて大物ギャングだったカリート(アル・パシーノ。敢えて昔から馴染みのある名前を使わせてもらう。)の悲哀を描いた犯罪ドラマ。
経済や文化やファッションの中心地で華やかなニューヨークの表側。
裏側は闇の世界でうごめく人間たちの醜い欲望が絡み合う。
信頼が脆くも崩れて夢や希望を見失いもがき苦しみながら最期まで夢と希望を忘れなかったカリートに心を寄せてみた。
演劇畑を歩んでいた彼らしい身体全体を使った表現力のある演技に見入った。表情や仕草だけで男の強さと弱さが見え隠れする。野太い声で台詞を言う(吐き捨てる)他を寄せつけない圧倒的な存在感だ。
ショーン・ペンは柔和で真面目な弁護士を装いながら、金や薬物に溺れて闇の権力に屈していく哀れな姿を好演。
ペネロープ・アン・ミラーはダンサー役。厳しい現実に苦しむ表情に胸が熱くなる。かつての恋人とよりを戻すが…。
初・デ・パルマ。
ヒッチコック映画に影響された独特のカメラワークが冴え渡る。長回しや目線アングルなど凝った画作りで緊張感と臨場感を与える。銃社会に厳しい視線を浴びせる巧みな演出もいい。
「カリートの道」日本版劇場予告編
https://youtu.be/OpHsFcHvY4M
主題歌は「You Are So Beautiful」ジョー・コッカーの"泣き節"が心に沁みる。
https://youtu.be/LcEnrwQfLOE