みかんぼうや

カリートの道のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.0
酒、ドラッグ、女、そして裏切り。マフィア物としては極めて王道だが、「シンプル・イズ・ベスト」を体現する分かりやすい展開と自分の芯を貫く漢としての覚悟、そしてラスト20分のデ・パルマ節とも言うべき“見せ場”アクション。観終わる頃にはガッチリ心を掴まれていた。デ・パルマ作品4作目にして、個人的には本作がダントツで好き。

実はこのとてもファンの多い監督の作風、もともとそこまで好みではないのです。あまりにも劇画的で“盛り感強め”な演出が。「アンタッチャブル」も「スカーフェイス」ももちろん面白かったけど、有名なベビーカーのシーンだったり、最後の乱射だったり、これみようがしの派手な演出が劇画的過ぎて、“スリルを押し付けられている”ような変な違和感を持ってしまったのです。

その点、本作はラストの見せ場アクションも含め、自分的に“ちょうど良い”演出で、話の展開も、自分の信念に一途な男と目の前の利益のために平気で仲間を裏切る人間たち、という分かりやすくも自分の好きな設定だったこともあり、全体的にバランスが良く、引っ掛かることなく作品に没入できたのが大きかったかもしれません。

個人的に、アル・パチーノが演じるマフィアキャラ(といっても4作程度しか知らないですが)の中では、本作の役どころが一番カッコよくて好みかも。ショーン・ペンは、こんな雰囲気の時代があったのか、というくらい、自分の持っているイメージと外見が違いましたが、曲者っぷりはさすがでした。
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