救済P

HELLS ANGELSの救済Pのレビュー・感想・評価

HELLS ANGELS(2008年製作の映画)
2.7
とにかく疲れる117分間。他にも面白くないアニメ映画はいくらでもあるが体感時間でいったらダントツで長い。見終わった時は充実感よりも解放感のほうが大きい。時の流れを遅くさせるアニメ。

なにかの手違いからか地獄に落とされたポジティブ女子高校生な主人公が現世に帰る為に奮闘する話。

手書き感満載の荒い直線で線描された独特なキャラデザをしている。キャラクターは可愛らしく、特に当初は主人公を虐める立ち位置だったが小心故に怯え次第に友達となっていく地獄の住人のキキには萌える。
不条理の連続である地獄での生活や虐めにも屈することなく、元気があればなんでもできる精神で曇ることを知らない主人公も魅力的で、全体的にキャラクターに対する嫌悪感はなかった。

本作のなにが時空を歪めているか、それは終始行われるハイテンションギャグによる。
後半こそシリアス路線へとシフトしていくが前半はスピード感溢れるハイテンションギャグが多く、というかそれしかない。まるで漫画をそのままアニメーションに落とし込んだかのような演出は集中戦やカットインで疾走感を演出するが、肝心のギャグが面白くなく、かつ、地獄でなにが起こっているのか基本わからないので、「意味のわからないテンションの高いだけの映像を1時間近く見続ける」ことになる。この時点でもうめちゃくちゃ疲れる。無駄にテンションが高いキャラクターの言動はシナリオに自信がないことの裏返しで、声のデカさでシラけた空気を無理やり上塗りしようとしている野球部と何も変わらない。

後半は聖書を多分に引用したシリアスな内容に仕上がっているが、聖書の内容がかなりアレンジされており、かつ前半のハイテンションギャグのせいでもう世界観もキャラもどうでもよくなっているので感情移入できず退屈。まだハイテンションギャグの連続のほうがマシだったのではないかと思われる。
ネガティブな言葉vsポジティブな言葉の言霊戦も幼稚。画面にでっかく文字が出てくる演出も滑っている。なんとか感動させようとしている努力を感じるが展開も言動もテンプレ的なので全く心が動かされない。

最後は爽やかに終わるがやっと終わってくれたの安堵感が大きい。5年くらい前に一度観たのにイチミリも内容覚えていなかったのは脳が余分な記憶を消去しようと働いてくれたからに違いない。また植え付けてしまった。
救済P

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