家庭と仕事を放り出して浮気相手のもとへ車を走らせる男の話。
全編車内で電話する画だけで展開されるワンシチュエーション映画。
夜の高速道路を黙々と運転してる時のあの不思議な浮遊感で引き込まれる。
車を止めたら殺されるとか、誰か人質に取られてるとか特にスリリングな事は何も起こらない。
だが我々一般人にとっては「明日のキツい仕事誰かに変わってもらわないと…」や「家族に本当の事話さないと…」といった状況は胃がキリキリするほどの大サスペンス。
本作の主人公はあまりに身勝手で同情できないが、もし自分がこの立場だったら…と思うともう目が離せなくなる。
真面目であるが故に人を傷つける。
こんな事バカ正直に言ったら相手を傷つけるし自分も破滅に追いやられる。
でもバカ正直にならずにいられない。
何なら本人はそれを良い行いとでも思ってそうなほど視野が狭くなっている。
ラストシーンに救いを感じられるか否か。
いろいろ試される映画です。