Kuri

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のKuriのレビュー・感想・評価

3.8
シンブル極まりない"行くだけの話"。
タイトル通りに"高速道路に乗っている間"の話。
登場人物はトムハーディひとりだけ。

今やちょっとした祭りの中にいるトムハーディの一時間半しゃべりっぱなし一人芝居と
イギリス英語が存分に味わえて、
ある種の需要にはちっきり答えてる作品です。

加えて
ここでのもうひとつの主役は灯り。
高速道路を照らす街灯と、流線型の車体に映り流れる車のライト。
全編に右から左、左から右と様々な方向に流れていく数々の灯りが、実際には一方向に真っ直ぐ向かっているトムの内面にある葛藤と苛立ちと混乱を表しています。

全編携帯電話との会話が続き、言葉で埋め尽くされた一時間半の中で、
正しく誠実であろうとひとりで決断したはずの主人公が
最終的に他者の肯定と許容によって自分を取り戻していくことを、言葉よりもカメラワークで表してるところが気持ち良かったです。
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