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ギヴァー 記憶を注ぐ者のGreenTのレビュー・感想・評価

ギヴァー 記憶を注ぐ者(2014年製作の映画)
1.0
こりゃひどい。

「近未来。人々は争いのない平和な理想郷“コミュニティー”で生活を送っていた。そこは徹底した管理社会であり、職業は全て長老委員会が決定し、人々は投薬によって感情や感覚を抑制され、娯楽も極端に制限されている」

とウィキに書いてあるのだが、映画を観ている上ではそういう感じはしない。きれいで漂白された社会、というのは建物で解るけど(白ばっかだから)、ジョナス、フィオナ、アッシャーというティーン・エイジャーの親友たちは普通の若者みたいだし・・・。

3人は多分18歳?学生を卒業し就職する年齢らしく、日本の成人式みたいにデカい公会堂に集まって、長老委員会会長?のメリル・ストリープから仕事を与えられる。

これは、育った環境の中で性格判断が行われ、その子に合った仕事を与えているみたい。

ジョナスのお父さんはアレクサンダー・スカルスガルド!この人いい男なのにイマイチぱっとしない役ばかりなのよね〜(サイコパスとか)。The Northman 期待してるぜ!

お母さんはケイティ・ホームズ。この人もぱっとしない人ですよね。

しかしこの家族は疑似家族。家族も長老委員会が選んで構成するらしい。なんでこんな管理社会なのかというと、The Ruin と呼ばれるイベントが起こり、世界中メチャクチャになった後、人間はもう一度世界を構築したんだけど、人間は感情があると世界を滅ぼすから、全ての不平等や妬みが起こらないように、家族からなにから管理しているらしい。

・・・って設定になっているんだけど、ジョナスとフィオナは明らかにラブラブだし、それをアッシャーは嫉妬しているように私には見えるので、「全然効果ないじゃん」と思う。それとか、ジョナスがちょっとでも反逆的なことを言うとお母さんが「ジョナス!言葉に気をつけて」って怒る。感情あるじゃん!

あと、成人式みたいので仕事を与えられる前の日、「もう子供時代は終わりだよね」とか、「明日取り残されたらどうしよう」みたいな不安感がある。感情あるじゃん!

ジョナスは「記憶を受け継ぐ者(レシーヴァー)」に任命され、「人類の記憶を蓄え、レシーヴァーに記憶を注ぐ者(ギヴァー)」のジェフ・ブリッジズに記憶を注がれる。

ここまではモノトーンで、どうやらこの世界の人は色が見えないらしい。ジョナスだけは色を識別できる能力があるらしく、ギヴァーに色のある世界を見せられて、映画自体が色を帯びてくる。

これも使い古された設定だし、見せ方がすごくつまらない。

また、音楽というものが存在しないらしく、ピアノを初めて見て「テーブル?」とかセリフも陳腐。音楽は感情を揺さぶるからないらしいのだが、なんか無理があるなあ。

で、先代のレシーヴァーの役がタイラー・スイフトだったりとか、どーいう配役なんだ。歌が歌えるから「音楽の素晴らしさをわかる娘」みたいな?

しかしこの設定には無理がある。なんでレシーヴァーは「選ばれし者」なのかというと、人類の歴史には戦争だの「負の感情」もたくさんあるので、それに耐えられる強い子が選ばれるハズなのだが、先代タイラー・スイフトは、繊細過ぎてダメだったらしい。

で、ジョナスなんだけど、色が識別できるとか、彼も繊細なんじゃないの?もっと完全に感情を殺せるようになった人、アッシャーとかがなった方が良くない?

話もめっちゃつまらないし、完全に子供向けだなあって思ってたら、どうも児童文学が原作なんだって。で、ジェフ・ブリッジズが気に入って、自分のお父さんをギヴァーに配役して映画化したかったらしいが、20年くらい?かかっちゃって、お父さんは亡くなって、自分がギヴァー演ったらしい。

メリル・ストリープは、完全にリモート出演で、自分だけ違うロケ地からの出演。未来社会だから彼女の役はホログラムでしか現れないという設定なんだけど、原作にもない役(か、全く中心人物ではないキャラ)らしい。

で、エンドロールで、ワインスティン・カンパニーが共同制作に名を連ねていてピンときた。メリル・ストリープが「私が出るから出資して上げて」ってハーヴィ・ワインスティンに頼んだんじゃないかなあ。
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