イルーナ

イタリアは呼んでいるのイルーナのレビュー・感想・評価

イタリアは呼んでいる(2014年製作の映画)
1.0
本作が好きな方には申し訳ありません。かなりの酷評となります。
予備知識を仕入れたほうがいい作品とそうでない作品ってありますよね。
……この作品の場合、まぎれもなく前者だったわけです。

予告やポスターを見ると、おっさん二人組のイタリアの名所とグルメを巡る楽しい珍道中を連想しますよね?
確かにそれは間違ってはいないわけですが……それがとんでもないミスリード。
その真の姿は……ストーリーらしいストーリー皆無!
イタリアの文化や名所を期待して観に来たのに、全編ひたすらモノマネ、ジョーク、映画の蘊蓄を延々と見せつけられる!!
しかも食べながらずーっと大声でしゃべり続けるから、観ていて体力を削られる。
旅の楽しさや新たな発見、交流というテーマを期待していると、とんでもない肩透かしを食らいます。
しかもそのモノマネやジョーク、蘊蓄話というのが英国の文学や映画に精通していることが前提というハードルの高さ。
明らかに肩肘張らないゆるいノリで観る作品として作っているのに、まともに楽しもうと思ったら相当な教養がいる。一体どこをターゲットにしてるんだこれ……?
だいたい、これを観に来る人は基本的にイタリア目当てで来たはずなのに、見せられたのは英国ネタ・映画ネタばかり……
DVDや配信で観るのならともかく、少なくとも日本の劇場で配給するのに向いてない作品だと思います。
また、「体調を崩すくらいに面白くない!!! 」という有名な漫画の一コマがありますが、一緒にこの映画を観た母が作品のつまらなさに加え、おっさん二人組のやかましさに冗談抜きで体調を崩しました……
誘ったのはこっちだっただけに、本当に申し訳なくて。

あまりの大惨事を目の当たりにして各地のレビューサイトを見て回ったら、ものすごーく人を選ぶ作品だということが分かりました。
中年の方や文学・映画マニアの方からはそこそこ評価されている声を見かけますが、それ以外の方の意見はほぼ「ネタがまるで分からなくて、観ていてひたすら苦痛だった」で一致している。
さらに調べるとこれ、シリーズものの2作目だったんですね。『スティーヴとロブのグルメトリップ』も『スペインは呼んでいる』も同じような内容っぽい?
『スペインは呼んでいる』のポスターを見かけた時は、本作のトラウマが蘇ってウッ……となってしまいました。
なので、他のシリーズも観る気になれない……
というか、『The Trip to Greece』って4作目も作っていたのか……?!本国だとそんなに人気なのコレ……?
コロナ禍とはいえ、これもいつかは『ギリシャは呼んでいる』という邦題で公開されるのか?
また劇場公開したら被害者増えるから、公開するにしてもせめてビデオスルーにしてくれ……と願うばかり。

余談ですが、この映画とタイアップしていたアリタリア航空の懸賞のページも酷いものでした。
「クイズに答えてイタリア旅行に応募しよう!」というものですが、まずクイズがどこにあるのかわからない、送信しても何もメッセージが出ない。
「入力はすべて英数半角でお願いしますってあるから、クイズも英数半角でやらなきゃダメだったのかな」と思ってもう一度やってみたら二重投稿に……
普通は入力欄に不備があったらお知らせしたりしますよね?そういったものが一切ない、ひたすらユーザーに不親切な作りだったのを覚えています。
当然当選しなかったわけですが、二重投稿が通ってしまった段階で「ああ、もうダメだこれ、私の応募弾かれた」と悔しくなりました。
本編ばかりかそれ以外の要素でも追い打ちをかけてくる完璧な二段構え。酷すぎて言葉が出ない……
なので、数年後にアリタリア航空が経営破綻したニュースを聞いた時も「さもありなん」としか思えませんでした。
イルーナ

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