Donatello

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションのDonatelloのレビュー・感想・評価

4.0
今にして思えば「スパイ大作戦」という名で日本では知られたドラマの劇場版リブートを原題まま『ミッション : インポッシブル』にしたのは素晴らしい判断だったように思えますね。面倒くさいサブタイトルがどんどん付いてくる5作目ともなると。『スパイ大作戦 ならず者国家の陰謀』とかダサくて泣けますからね。

トムさんの、誰も頼んでないのに自ら進んでスタントをこなして、歴代作の監督を始めとする多くの関係者達をヒヤヒヤさせておきながら、「いやぁ死ぬかと思ったよ」などという「おまいう」な性格は相変わらず5作目でも健在のようですが、インタビュー見ていたら、さも自分は嫌だったけど的に「勘弁してくれって思ってたんだけどね」などと言い放ち、今回も拍車がかかってるあたり確信犯だと思いますよええ。

観客の観たい映像を魅せてくれる稀少なシリーズですからして、同じ諜報員モノでも『007』シリーズのそれとは異なる、基本はシリアスだけれども、破壊などはコメディーさながらに思う存分やるところは本当にこのシリーズ楽しいですね。

予告を観て誰もがクライマックスのものだと信じて疑わなかったであろう映像がコールドオープンという、意表を突くスタートに始まり、矢継ぎ早にアレコレ粉砕するお金の掛かったアクションは流石で、特に特筆すべきはバイクスタントのシーン。
最近観た映画のバイクシーンで、僕が一番イカしてると思っていたのは『アンダー・ザ・スキン』の雨の中の疾走シーンでしたが、本作のそれは完全に凌駕するレベル。

いつものM:Iチームの面々に加え、『ヘラクレス』では「お姫様なのに二の腕太っ!」という事が気になって仕方なかったレベッカ・ファーガソンちゃんが、逆にこの映画ではその二の腕の太さを存分に活かし、なかなかのアクションで、割とそっち向きなんだなと。
個人的にポーラ・パットンちゃん好きなんで、続投してくれても良かったんですけどね。
ついでにジョナサン・リース・マイヤーズ君も復活させて頂きたかったところですが。

しかしね…。
本当に凄く惜しいのはシリーズ物のお約束が守られていない事。

指令ではじまり次の指令で終わるというのが「スパイ大作戦」であり、一作目でも敢えて守られた所ですが、5作のうち守ったのはデ・パルマ監督とバード監督だけという、あんたら「スパイ大作戦」観たことないんか。

『アウトロー』のラスト、トムさん演じるジャック・リーチャーがどういう人物か他の人間に語らせつつ、その語りをバックにトムさんが人となりを見せるという終わり方がなかなか良かっただけに、マッカリー監督ならイカしたエンディングにしてくれるに違いないと期待したんですが、意外にあっさりしてましたね。

まぁIMF解体復活直後だしね、と言われたらそれまでですけどね。
勝手にラブストーリーみたいな終わり方にしたウー監督と、後先考えずにハネムーンに行かせたエイブラムス監督よりは余程マシですが。
『M:I GP』の方が好みかな。個人的には。

スカイダンス的に2度同じ監督は使わない感じですが、可能ならマッカリー監督続投して欲しいですね。今度こそやってくれるでしょうから。
ダグ・リーマン監督はちょっと期待してますけど。

『トップガン2(仮名・公開未定)』に「本物の戦闘機使えないなら出演するのヤダ」という駄々こねを発動しているトムさんが、次回のM:Iにどんな我儘を持ってくるのか楽しみでなりません。
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