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さよなら、人類の&yのレビュー・感想・評価

さよなら、人類(2014年製作の映画)
3.5
【2015/9/2:恵比寿ガーデンシネマ】
こういう映画観ていつも思うことは、「松本人志の作品がこういうのだったら良かったのになあ」って事。ひとつひとつのエピソードはVISUALBUMに入ってそうなのばっかりだし。「お元気そうでなにより」「早朝勤務の人もいる(から夜は静かにしろ)」など、繰り返されるコミュニケーションの他人事さも可笑しい。

「実存ナントカどーのこーの鳩」とかいう意味深な原題とは裏腹に、お話自体はシュールなブラック人生賛歌って感じで、邦題(たまを思い出すのはアラフォー世代)から受ける印象以上の深読みを唆るほど興味を惹かれなかったのだけど、美術の素晴らしさで次のカットが待ち遠しく、最後までワクワクが持続。ロレッタラックスの作品世界の子どもたちが大きくなったらこんな感じ?とか思った。そしてラスト近くではワイズマン「霊長類」オマージュみたいなのもあり。て引用元までシュール過ぎ(実際引用したかどうかは不明)!

細部まで作り込まれた画面は、街中のシーンも含めてすべてセットだと聞いて驚き。背景は手描きだったりするらしい。
奥行きがあるのかないのか、時間や気温がどのくらいなのか。これらの画面が単に適当に並べられたものの結果としての曖昧ではなく、意志を持った羅列であることは一目瞭然。わたしはディスプレイの仕事をしていて、隅々まで神経の通った仕事をしたいと常々思っているので、こういうの見るとめんどくさいけどがんばろうと思える。戒めとして(転職活動中)。
ポール・トーマスさんにウェスさんに、このロイさん。アンダーソン姓はみんな画面構成キチガイなのか?わたしの姓を早口で○○さん、って呼ぶと「アンダーソン」に聞こえないこともなさそうなので、是非あやかりたいものです。

リニューアル後の初恵比寿ガーデンシネマでした。ウッディアレンいろいろやゴーストワールドを観た思い出の映画館カムバックは嬉しい。

久しぶり、お元気そうで何より。
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