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ドリーム ホーム 99%を操る男たちのmmmuのレビュー・感想・評価

4.2
2010年。郊外にちたならぶ庭付きの家といえば私たちが思い浮かぶ「アメリカ」でもあるわけだけど、そこに住んでいる市民たち(シングルファザーや老人から移民まで)はローンを組んでそこに住んでいる。ローンが払えなければ、裁判所は差し押さえをみとめ、一瞬で家は他人の物になってしまう。

建設現場ではたらいているデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)だけど雇用は不安定。シングルファザーで母と息子と3人暮らし ローンが払えなくなって銀行から立ち退き要求をされ、あっというまに生まれ育った家を追い出される。仕事は見つからず、立退に立ち会っていた悪徳不動産屋のリック・カーバーのもとで働くことになり、立ち退いた後の家の設備を盗んで政府から補助金を掠めとったり、空き家を人が住んでいたことにしてcash for keys(立退の日までに家を空っぽにして鍵を開け渡せば、政府と銀行から3500ドルもらえる)を悪用したりと、システムの網の目をついてお金を儲けてゆく。ここでもリックに搾取されているデニスだけど、ほかにお金を稼ぐ方法はどこにもない。

やがてデニスは立退を要求する立場になる。住んでいる家をわけもわからず追い出される人を見るのはかなり辛い。立ち退く人たちのなかには、よくわからずに契約した老人や、移民の人も多く、英語がわからない親のために幼い子供がデニスの言葉を通訳するシーンは心が痛かった。家はこんなにあるのに(建築屋のデニスの仕事がなくなるぐらい)不動産屋は都合の良いように人を追い出してそれを売ってお金を儲ける。「自分の家」は一つしかないのに。

デニスは家族にはまだ建築現場で働いていると思われているころ、リックの元で働いた後に何処かのトイレで着替えながら顔を覆うシーンなどちょっとドキュメンタリーかと思った。アンドリュー・ガーフィールドの真面目に働いてきて息子と母をおもいやる青年の演技はすごく自然で、「不条理に苦しむアンドリュー・ガーフィールド」というジャンルを確立している(?)

「サスペンス」というジャンルになっているけど、最後の表情とか窓の外が映画のスクリーンみたいな演出の仕方とか、社会派ドキュメンタリー見てるみたいな感じがした 真面目なだけじゃなくすごくドラマチックな作品で、Rotten Tomatoesで批評家スコアが高いのも頷ける 最後のとことか現代の西部劇だよなぁ
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