ベビーパウダー山崎

哀れなボルヴィーザーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

哀れなボルヴィーザー(1976年製作の映画)
4.0
気の弱い駅長が愛する妻を肉屋に寝取られ、その妻を守ろうと嘘の証言までするが、結局は美容師とも出来ていた妻にあっさり逃げられ、偽証罪で監獄行きからの離婚成立。監獄で悪夢にうなされ、気が狂い、陰茎をまさぐり壁とセックスする廃人。
人生は真面目に生きたとしても地獄だ。平凡な中年が身の丈に合う女を妻にしなかったことの罰なのか。平穏な日常を望めば望むほど強者に搾取され、最後はゴミのように捨てられる。一発逆転などあるはずがない、ただただ惨めに理不尽な不幸を受け入れるしかない。ファスビンダーを見ると元気が出る。その影が微かな光さえ飲み込んでしまうほどの暗さで堂々と表現しても良いのだと勇気をもらえる。