JohnIX2426

第三世代のJohnIX2426のレビュー・感想・評価

第三世代(1979年製作の映画)
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カントやヘーゲル、ニーチェを読む理想主義的な第一世代、ゲシュタポ的警察(レイダースのあいつそっくりな見た目)と私利私欲のために全てを利用する第二世代(ここまではナチを知っている)、ニュートンのゆりかごの玉のように、直感では見えない力によって目的もなく動かされる第三世代。(という世代認識で合ってるのか?)

彼/彼女らにとっては、全ては空虚であるしかない。貴族を表すvon という記号のように。自身の名前も、出生も取り替え可能なものだ。バクーニンのアナキズムも字面の朗読に過ぎない。それを理解しようとするベルンハルトの警察への抵抗は「Das ist ….」という言語の教科書のような無意味な響きに回収されてしまう。フランツを救おうとする必至の試みも、陰謀を暴く試みも、フランツの愛も全ては無に帰す。

残された道は薬物に溺れるか、気がふれて(住所を知っていたという意味ではふりをして?)白昼夢に漂うか、道化になるしかないだろう。

映画は、あるいはこの世界は1秒間に25回の嘘なのだから。
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