るるびっち

悪魔とミス・ジョーンズのるるびっちのレビュー・感想・評価

悪魔とミス・ジョーンズ(1941年製作の映画)
4.3
この手の設定では教科書的な内容。
『水戸黄門』のように、身分を隠して自社デパートに平社員として調査に入る社長。
水戸黄門や『釣りバカ』のスーさんと違うのは、善人ではなく傲慢な経営者というところだ。
組合員に憎まれ強欲経営者として、デモで社長の”首吊り人形”を晒される。怒り心頭で、犯人探しに潜伏するのだ。
しかし貧しい労働者と誤解され、組合側の運動に参加させられる。
社長の意志に反して、どんどん場違いな状況に追いやられてオカシイ。
ずーと、笑って見られる。

日本でもこうした設定はあるが、邦画の場合妙に感動や涙、庶民の苦しみ、ヒューマンドラマを押し付けがち。
悪い油で揚げた、べちょべちょの唐揚げのように気持ちが悪い。
本作のように、良質の油でカラっと揚がっていない。

当然、ミイラ取りがミイラになるのだが、邦画でよくあるように貧しい庶民の暮らしにほだされる訳ではない。
優しくしてくれた中年の女性への恋心から庶民側につくのだ。
その辺、感動の押しつけではなく、チャーミングで微笑ましいコメディとして見られる。

本作が1941年の映画。
邦画は未だに油が悪い。
いい加減、ベトベトした油を使うのはやめるように見習った方が良い。
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