ロクシ

ドローン・オブ・ウォーのロクシのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.0
「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ!」
って言ったのはルルーシュさんだったかな。
絶対に撃たれないところから人を撃ちまくる人の苦悩を書いた話。

「レストレポ前哨基地」との差がすごい。
こっちは命もかけてないし、自宅から通えるクーラーの利いた快適な職場で画面の向こうの国にUAVで爆弾を落とす。
現地の地上部隊を空から護衛する急な任務のために、子供の学校のお迎えに行けなくなったと妻にメッセージを送り、予約していたジム代が無駄になったとキレられる主人公。(妻は任務の内容を知らない)
危険な戦地に自ら赴いていれば絶対にしないであろうおかしなやりとり。家族との温度差で頭がおかしくなる。
戦場じゃないからレストレポみたいに現地の仲間との熱い絆なんかもなく、家族にメールを打ちながらスイッチで爆弾を落とす作業を続けるただの虚しいサラリーマン。
主人公は安全快適な場所から遠隔操作で民間人を巻き添えにしながら殺す作業は自分でも卑怯だと感じていて、
現地の部隊から変わってほしいよと言われてもなんて返せばいいかわからない。
時々現地部隊がIEDで死んでも、それを見届ける自分たちは安全で、家の快適なベッドで眠れる。
このやるせなさでだんだん病んでいく主人公。

一家を爆弾で皆殺しにし、さらにお葬式をしている人達の上に追い打ちで爆弾を落として皆殺しにするなんて正気の沙汰じゃない。
空からあんな狂気が降ってきたらヨーロッパに難民も大移動するよなぁと思った。

アメリカもある種かわいそうな国だと思った。
核爆弾を落とされた私達は爆弾を落とす国にならなくてよかったかも…。

でもユダヤの強制収容所の人達は他国から収容所に弾を落としてほしいと心から思っていたそう。

正義って何なんだろうなぁ。
ロクシ

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