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ドローン・オブ・ウォーのBalthazarのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.5
2015年公開の作品で、5年経った2020年現在ではドローン戦争の状況が変わってきている。

まず劇中では「テロリストの側もドローンを使ってくるのでは」の問いに「子供に自爆させたほうが安上がりだよ」と返されていたが、すっかり今じゃ中東のテロ屋さんは普通にドローンを駆使してますね。
迫撃砲弾の着弾観測なんて昔はヘリコプターを使ってやるしかないから、テロ屋さんは勘で当てずっぽうに撃ってた。今はドローンを滞空させて正確に狙える。
家電量販店で5〜10万円以下で買える商用ドローンにプラスチック爆薬を括り付けて、神出鬼没に自爆させたりとかもする。

もはやドローン・オブ・ウォーは大国アメリカだけの専売特許ではなくなった。
この映画の主役でもある米空軍のMQ-9リーパーも、もう時代遅れになりつつある。

この映画公開から、わずか数年の内に軍用ドローンは何十カ国にも拡散しており、もはやドローンの飛ばない紛争はないと言っていいくらいドローン・オブ・ウォーは普遍的なものになった。
イランが軍用ドローンをサウジアラビアの石油施設に巡航ミサイルのように突っ込ませ焼き払ったり、カタールのような小国でさえ軍用ドローンを飛ばして他国に武力介入できたり、これまでの常識では考えられない新しい戦略、新しい戦争の形が現れている。

「翼龍」や「彩虹」など中国製のコピー品が各国の軍隊で採用実績を伸ばしている。また、これをベースにした国産化も盛んで安価な派生品が次々産まれている。
トルコのような中堅国家も「バイラクタル」といった国産品の高性能な軍用ドローンをどんどん開発してはシリア、リビアでの実戦に投入し、戦車を無用の長物に変えるほどの大きな戦果を挙げているという。
手乗り文鳥サイズの手軽な偵察型から対地ミサイルを撃てる本格的な攻撃型まで、世界最大の軍事ドローン製造輸出国はイスラエルだ。
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