けーはち

ドローン・オブ・ウォーのけーはちのネタバレレビュー・内容・結末

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

優秀なパイロットだった主人公が対テロ戦の遠隔攻撃任務で、徐々に精神に破綻をきたしていく。事実に基づいたドキュメンタリー寄りの暗い戦争映画。

ドローンの操作や攻撃の描写は、素直に「へぇ」って感じだった。これだけでもうミリタリー好きには観所がある。

遠隔攻撃の作業は、同じことの繰り返しで、平坦で地味に感じられたが、戦争だってルーチンワークならばそういうものだろう。

主人公の酒量の変化や家庭崩壊で明解に破綻に向かう変化を感じさせるドラマ運びだが、彼が「飛行機乗りの軍人」気質なので、彼の主観に共感して見ることができるかは難しい。

実機で空を飛び、リスクを冒して恐怖を感じる戦地に彼は心を惹かれていた。遠隔地から一方的に、CIAからの命令で民間人も巻き込んで人の命を奪うほどに、自分が「臆病者になった」ようで心を蝕まれていた。

だが、ドローンだろうと実機であろうと戦争なら敵を殺すことに変わりはないし、リスクを冒して攻撃する戦争がフェアだってこともないし、民間人の巻き添えだって同じことだ。

ひょっとすると、彼の同僚や妻が言うように、安定した身分で毎日家に帰れて家族の顔が見られてエアコンの効いた部屋で安全にやれる、こんな戦争ならば、実は最高なのかも知れない。だけど、彼の主観ではそうではなかった。

命令に背き、昇進をフイにし、ラストでついに自分の感情に正直に、許せない悪党を裁く「私刑」をやって軍を去り、そこから家を出た妻子に会いに向かったのが印象的。

果たして安定した軍の職を捨てて彼は妻子と家庭再生できるのだろうか…?(たぶん、無理なんだろうな…)