にゃんにゃん

発禁本「美人乱舞」より 責める!のにゃんにゃんのレビュー・感想・評価

4.6
田中登×いどあきお、大好きな山谷初男と宮下順子と中島葵、ずっと気になってた映画!縛られて吊される宮下順子の生気のない瞳から始まる。宮下順子ってあんまり縛られたり吊されたりしてるイメージないから新鮮。田中登もあんまりSMもののイメージがないけど小沼勝に引けを取らない、むしろ上回るくらいの耽美さ、上質さ。窓から雪が降り込む四畳半、宮下順子の真っ赤な着物からはだける白い肌、ああ美しい。中島葵が激怒したとの噂の、氷張った池に半身浸かるシーン、寒そうすぎるし美しすぎる。男への愛と過去の女には負けないという一心で責め苦を耐える宮下順子の健気さ。愛と怒りと挑発と恍惚が混じる素晴らしい表情。狂ってもなお美しい。「㊙色情めす市場」から連なる母と娘の因果、「人妻集団暴行致死事件」に連なっていく男の孤独と愛、このあたりからもう涙なしでは観られない。伊藤晴雨と田中登の芸術家魂がしっかりと組み合ってすごい。静謐な自然と雪の光がまぶしい映像美。スクリーンで観たい。観終わってからもう一度観ると本当に胸がえぐられる。宮下順子は、最後は、幸せだったのかな。傑作だ。
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