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わたしに会うまでの1600キロのchsyのレビュー・感想・評価

4.8
タイトルから、自分探しのロードムー ビーを連想する方が多いでしょう。
確かにそういう面もありますが。
どちらかと言うと、どん底まで落ちた女 性が再起をかけてとてつもなく大きな壁に挑戦する物語。
原題「WILD」をそのまま入れていれ ば、受け取る印象も違ったのではないかな。またもや邦題が残念。
その「壁」こそがWILD…自然の摂理 (母の死をも含む)と解釈しました。

無垢な心を持ち、逆境の中で常に前向き に、あんなにも健気に生きた母が、どうして45歳の若さで死ななければならなかったのか?
主人公シェリルは、その不条理が受け入 れられず、自分を責め、世間を責め、彷徨ったあげく、偶然見かけたガイドブックからこのトレイルの完歩を決断します。
「ライ麦畑でつかまえて」の主人公ホー ルデンが弟の死に直面して感じた不条理
を回想しました。

山ガールには共感できる作品。
「なぜトレイル歩きなの?」との疑問は 生まれない(笑)
そう、ただ黙々と歩く。人間の身体は右 足を一歩踏み出せば、次に左足の一歩も自然と出るようにできている。
その繰り返し、果てしない一歩一歩の繰 り返しが、自分に何かを与えてくれることを身を持って知っている。

辿り着いた Bridge of the Gods…神々の橋とは、何を意味しているのか。
あのキューティー・ブロンドのリース・ ウィザースプーンがいい表情していました。
口ずさむ歌の歌詞や作家の言葉など、含 蓄に富みながらも、森の匂いをまとって押しつけがましくない。
「コンドルは飛んでゆく」の歌詞が特に 意味深。いいですね!
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