ダイアー教授

キャロルのダイアー教授のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.8
題:Flung out of space!天から降りてきたよう!
製作:2015年、アメリカ、イギリス
監督:トッド・ヘインズ
原題: パトリシア・ハイスミス著『キャロル/Carol』
出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールセン、カイル・チャンドラーちゃん


素晴らしい映画でした。
女性同志の愛の話です

オープニングの金網は地下鉄の換気口…
1950年代当時、女性の地位は男より下で、同性愛は地下でひっそりと営まれていたことを表現しているとのことです。
監督のトッド・ヘインズはそのスジの人だそうです。

この映画を語るとキリがないので、3つにまとめてレビューします。

1.ルーニー・マーラ
私は
“ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの絡みが観られる!”
という下衆な下心で観ましたが、開始3分で邪心は消えました。

ルーニー・マーラがものすごく可愛いです。
“こんなに可愛いコがこの世にいるのかよッ!“と思いました。

まさに“天から降りてきた/Flung out of space”天使/Angelのようです。

ルーニー・マーラが演じたテレーズ・リベリット嬢。
小さい口は自己主張が弱い感じで、劇中テレーズは「あたしは自分で何も決められないの…」と言っています。
耳も小さくて、幸(さち)が薄そうな感じがして、護ってあげたくなります。
逆に眼は大きくて、いろんなものを視て、受け入れようとするかのよう…
彼女が好きなカメラのレンズのようです。

キャロル邸から独り帰宅するシーケンス…
電車で鼻水垂らして泣くシーンは胸が痛くなりました。
男性諸君!女の子にこんな思いをさせてはいけませんよ。


キャロル=ケイト・ブランシェットは“気品”が服を着て歩いているような女性ですが、
脆い一面もあってそこに人間味を感じます。

2.視点
この映画は物語を2人だけの視点で全て語っています。
男前のケイト・ブランシェット=キャロルと可愛いルーニー・マーラ=テレーズだけの視点で語られます。

キャロルの旦那さんやテレーズの彼氏にもいろいろ言い分はあるだろうに、
それを排除して、2人の物語を濃密に描いたのです。
そこが良かったと思います。

私はDVD鑑賞ですが、最後の方は映画であること、つまり作り話であることを忘れて、
「テレーズ、頼むから追え!追ってくれ!今度こそ自分で決めるんだ!」
と、テレビの前で手を組んで祈っていました。

3.原作者
原作はパトリシア・ハイスミス著「The Price of Salt」という小説。
ハイスミス女史がデパートでバイトしていた頃の体験を基にしたそうです。
ってことは、テレーズのモデル!?

どんな美女かとわくわくして、本人のご尊顔を拝見しましたが…
天から落ちて潰れてしまったようですな。

まぁ、ルーニー・マーラみたいなカワイ子ちゃんを求めて空ばかり見ていては、
ハイスミス女史のような地上の星に気付かないってことでしょうか?