何て美しく贅沢な二時間だったのでしょう・・・
しばらくは夢を見ていたような心地を味わいました。
最近LBGT、特に閉鎖された時代の同性愛者を扱った作品が公開されていますが、このキャロルは1950年代、今から66年も前のことです。
キャロルやテレーズの関係は本当に秘めたものでしたでしょうし、理解もされ難かったことでしょうね・・・
そんな時代背景にあっても、人が人を思う愛や感情とはこんなにも繊細で儚く、それでいて強いものなのですね・・・
今は、相手に愛の告白をするのでも、携帯一つで終わり、相手の行動や気持ちも瞬時に知ることができます。
しかし、この当時は電報や呼び出しの電話のみ。
会えない時間にどれだけの切なさや想いを抱えていたことでしょう・・・
この二人の想いをケイトとルーニーが実に繊細に、心が震えるような演技で・・・ともすればちょっと目を離しているすきにその二人の想いさえ見逃してしまうのでないかと思うような微妙な目線、唇のかすかな動き、たばこを持つ指先・・・
原作がパトリシア・ハイスミス(「太陽がいっぱい」)と聞き、なるほどと納得しました。
彼女の作品には恋愛の高揚とともに人間の嫉妬、相手を独占することでしか得られない人間のいわば汚い部分も描いてあります。
人とは誰かを愛することで、美しく、また、そんなも醜くなることができるのですね・・・
文学的作品を愛する人には是非お勧めしたい。
とても行間を感じる作品でした、今年のベストに入りそうですね。