このレビューはネタバレを含みます
こんなものじゃない。
僕が『キャロル』に期待していたのはこんな程度のものじゃない。
キャロルが終始何かを漂わせながら、物語は彼女の母としての我が子への愛情を自明の理として流したがために、キャロルの選択も、テレーズに送った手紙も、リッツでのI love youも、僕の中ではずっと上滑りしてる。
テレーズは今も、「愛の可能性(あるいは不可能性)」に覚醒したばかりの若者で、年上の女に憧れ続けるただの「女子大生」のままだ。
テレーズはキャロル無しでは何ものにもなれなかったが、キャロルはテレーズ無しでも母親になれた。
2人が初めて視線を交わした出会いの時から、いつしか一枚の鏡の中に互いの姿を捉えなおしキスを交わす瞬間まで。キャロルがテレーズの中に何を視たのか。僕にしてみればテレーズ側の圧倒的な一方通行でしかないのだが。
それではあんまりではないでしょうか?