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キャロルのptaleのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
5.0
原作のあの独特な冷たさがちゃんとあった。一回目、冒頭の地下鉄の通気口が映る場面から胸が高鳴ってその状態のまま終わってしまい、二回目、三回目とそれは同じで何回観ても新たな発見があり、慣れることもないという大好きな映画。熱い言葉の掛け合いや触れ合いがない中で、さらっと言けど効果抜群な一言やそっと指先で触れ合ったときに残る熱とか。冒頭の出逢いの瞬間の、視線が交わり合ったときから強烈な引力が生じて、その間には誰も立ち入れなくなるような感覚。視線が外れ、もう2度と戻ってこない束の間の余韻に浸るまでもなく今度は目の前にその相手が現れるという幸福。エンドロールをぼーっと観ながらああもう一回観たいなって何回目でも思ってしまう。
恋い焦がれるただ一人の人間以外は眼中から消えます、みたいなルーニー・マーラと、エレガンスに関しては隙一つないキャロルそのものだったケイト・ブランシェット。
画面すべての要素の調和。サントラを聴くだけで終始つきまとう不気味な不穏感とキャロルに向かうテレーズの幸福感を思い出す。
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